「そうなんだ。それをモデルに描いていい?」
「もちろんいいよ」
首から外してテーブルの上に置くと、八雲君は鉛筆を握り、ナギからもらった勾玉をノートに模写していく。
その瞳は真剣で、少しだけ羨ましく感じた。
私にはこんな風に夢中になれることがないから。
そうして、勾玉を書き終えたら、話をいくつかのシーンに分け、いよいよ絵の構想に入った。
図書館で借りてきた本を参考に神様や巫女の姿を決めて、シーン別にラフ絵を描いて。
なんとなく形になった頃には、時計の針がそろそろ正午を指すところだった。
「凛お姉さんありがとう。絵が描き終わったら言うから、文字を書くのを手伝ってもらってもいい?」
「うん、もちろん。出来上がりが楽しみだね」
そう声にすれば、八雲君は微笑んで頷いてくれた。