『玉響物語』


まだ、日の本の平定に向けて神々が人と共にあった時代。

黄泉乃島(予渼ノ島)に一柱の神が、神々の住まう高天原より降り立ちました。

その神の名は【アメノヨモツトジノカミ(天乃黄泉刀自神)】といい、黄泉乃島にいくつかある黄泉の国への入り口を管理し見守る役割を担っておりました。

ある時、アメノヨモツトジノカミの元へ一人の美しい巫女が訪ねてきました。

巫女は言います。


「わたくしは、アメノヨモツトジノカミ様にご奉仕するようにと、昨夜、アマテラスオオミカミ(天照大御神)様よりお告げを承りました翡翠(ひすい)と申します。何卒よろしくお願い申し上げます」


アメノヨモツトジノカミの社にはまだ自分しかおらず、巫女のことを大層喜び迎え入れました。

また、巫女は心の根が優しく聡明な女性であり、アメノヨモツトジノカミはいつしか巫女に心を寄せるようになりました。