「……否定、してくれないんだ」


どこかで期待してたのだ。

あの日聞いた言葉は何かの間違いで、凛も大切だと、言ってくれるのを。

でも、過去の想いと仕事に関して認めただけだった。

目頭が熱を持つ。

唇が戦慄いて。

──ポタリ。


「ふっ……」


ポタリと。

頬を伝う涙は止まらず。

ただひたすらに、漏れそうになる嗚咽を両手のひらで留めて。

迷わず、強く立てる大人に早くなりたいと、ゆっくりと暮れ始めた空と緑溢れる山の稜線を眺めながら、願っていた。