島に行ったのが悪いような言い方に、私は唇をきつく噛む。

私のことならまだいい。

でも、ナギやヒロ、女将さんの優しさを否定されたようですごくショックで。

どうしてそうしたいのかさえ気にしてくれない母に苛立って。

だから、黙っていらずに私は吐き出した。


「……おかしくなったのは、お母さんだよ。おばあちゃんちにいた時はまだ良かった。お母さんは私の将来の為にって必死に働いてくれていたの知ってたよ」

『そうよ。今だって頑張って働いてるじゃない』

「それは私の為じゃなくて、彼氏との時間の為でしょう!?」


私の為にと早く帰ってきたことはないけれど、彼氏に会うからと定時で帰ってきては出かけて。

頑張って作った夕飯は味見さえしてもらえず、私はまたそれを次の日の夕飯にしていた。

母にとって、私はなんなのか。

ずっと、ずっと気になって、苦しくて、辛くて。


「私が出ていけば、彼氏と同棲できるしちょうどいいでしょ」


邪魔なら。

いらないのなら。


『……凛、とにかく一度帰ってきなさい 』


それからきちんと話そう。

母はそれだけ告げると、電車に乗るからと通話を終了させた。