ナギは、私を見てすぐわかるだろうか──。
そんな不安と、久しぶりに会えるかもしれないという期待を胸に、私はひとり、飛行機とバスを乗り継いで港へ向かい、本土と予渼ノ島を結ぶフェリーに乗船する為のチケットを購入した。
ナギとは会ったのは引っ越しの日の朝が最後だ。
その後、彼とたまに送り合っていた手紙のやり取りは、中学に上がる前に途絶えてしまった。
実は、私と母は最初から今のアパートに引っ越したわけではなく、始めは母方の祖母の家にお世話になっていたのだ。
けれど、祖母が他界した翌年、うちは隣家の火事に巻き込まれて半壊。
その際に、ナギからもらっていた手紙や、住所を記載していたアドレス帳が燃えてしまい、その上引っ越すことになったので連絡が取り合えなくなってしまったのだ。
当然、すごくショックを受けた私はどうにかナギに連絡を取れないかと悩んだ。
ナギのお祖父さんは神社の宮司さんなので、母に聞けば神社の名前くらいはわかるのではと考えたこともあったけど、何せ島には神社が各地にたくさん点在しているのだ。
その上ナギは両親を事故で亡くしていて、彼は父方の祖父母の家に預けられていた。
なので、ナギの家とうちの両親とは接点がほとんどなく、島が地元であった父が亡くなったことにより尚更彼との縁が遠くなってしまったのだ。