「嫉妬……してるわ俺……完全に」


ぽつりと呟いた言葉がほとんど無人のロータリーに響き、秋の冷たい風が頬を撫でて、部活でかいた汗を冷やす。

自分の中に芽生えていた感情に、俺はひたすら戸惑っていた。

額に拳を当てて、今の感情を整理しようと試みる。

……目を閉じると、雛の命日の日、雨を跳ね返しながら走ってきてくれた望月の必死な顔が浮かぶ。

望月を抱きしめた時の感覚が、今更リアルに蘇り、徐々に顔が熱くなっていくのを感じた。


「俺……よくあんなこと」


羞恥心で叫びたくなる衝動をなんとか押さえて、財布を取りに学校までダッシュで戻った。

それでも、頭の中は気づくと望月のことでいっぱいだった。

そういえば、ここ数日間ずっとそうだった。

一之瀬に言われなければ、気づかなかった……いや、もしかしたら本能的に気付かないふりをしていたのかもしれない。



俺は、もしかしたら、望月が好き、なのかもしれない。