『ドアが閉まります、ご注意ください』 平日、通学時間帯の江ノ島電鉄、 通称“江ノ電(えのでん)”の中は、学生を中心に混雑している。 私が乗車する藤沢駅では毎朝、だれもが四両編成の車両に並んだ数少ない席を取ろうと必死だ。 だけど、この息苦しい満員電車も決して嫌なことばかりじゃない。 ゆっくりと、走りだした電車。 窓の外を見れば古都・鎌倉に息づく家々が建ち並んでいた。