気付いたら、コウちゃんの腕の中にいた。

コウちゃんの優しい匂いがして、ドキドキした。

コウちゃんの口元が、耳のすぐ横にある。

コウちゃんの吐息で、全身が熱くなった。


「マメ、またおかえりって、言ってくれるか……?」

「え……」

「おかえりって、ベランダから、今までみたいに。俺、あの笑顔が無いと、やってけそうにない」

「っ……」

「マメがいないと、やってけそうに、ないんだっ……」



――――コウちゃん、コウちゃん、コウちゃん。



コウちゃんの良い所をこんなにたくさん知ってるのは私しかいないよ。

コウちゃんにおかえりって言った回数も、コウちゃんのお母さんの次に多いよ。

コウちゃんの色んな仕草や癖や表情を知っているよ。

嘘をついたときも、悲しいの我慢してるときも、本当は喜んでるときも、分かるよ。