元はと言えば、コウちゃんが私のことをマメって呼ぶから、それが小学生の頃皆に定着してしまっただけなんだけれど。

私とコウちゃんは同じ私立の小学校出身で、そのままエスカレーター式で高校に入ったから皆知り合いだった。だから私とコウちゃんの仲を知らない同級生はいないし、コウちゃんの学年で私のことを知らない人もいなかった。

まあ、コウちゃんは高校はもっとレベルの高い理系高校に行きたいとかなんとか言って、途中退学してしまったのだけれど。

それでも私は毎日コウちゃんに会いに行ってた。そうやってこの年まで生きてきた。



間違いなくコウちゃんは、私の生活の一部になっている。



「マメ、あんたそういやこの昼休みの間に古典の予習するとか言ってなかったっけ」

「……見せ」

「見せないからね?」

「はい……」


昼休みはあと5分で終わろうとしていた。