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どうするのが正解で、なにが間違いなのかってのは、いつだってわからないものだよ。

たまに強烈に思う。わたしたちは集団のなかで生きているんだなって。


集団行動――群れる、ということが昔から本当に苦手なほうで、女子特有の『なにをするにも友達といっしょ』とか、『イツメン』『ニコイチ』とか、くだらないなあって思ってた。修学旅行の班決めのときも、球技大会のチーム決めのときも、内心かなりめんどくさかった。


どれだけ普段ベタベタして群れていても、嫌なことがあれば容赦なく切っていく。

情けない世界だなって思うよ。女どうしのトモダチってのは、全部がうまくいっているときだけ完璧に成立して、ひとつでもうまくいかなくなると完璧に崩壊する、とてもゆがんだ関係だ。

そういうの、ほんとに見下してたんだ。
キモチワリィって嫌悪もしてた。


――そして、わたしも同じ穴のムジナだってこと、思い知った。


ナミは孤立した。本当に、きれいなまでに。

ミキは容赦なかった。もともとスクールカーストの上位にいるミキだったので、その及ぼす影響力というのはまさに強固なものだった。


正直、今回はナミが悪かったよ。友達の彼氏と浮気するなんてありえないし、ミキがここまで怒るのも当然のこと。

でも――と、思う。

わたしが、ナミになにか言えばよかったんじゃないか?
浮気なんかやめておきなよって、こうなる前に、言えたんじゃないか?

そう思わずにはいられない。後悔せずにいられない。

それでもなお知らんぷりして、安全地帯にいる自分のこと、心から汚くて最低なやつだって思うよ。こういう卑怯な自分が大嫌いで、たまに死んじゃいそうなほど息が苦しくなる。