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一歩、一歩と進むごとに、文化祭の喧騒が背後へと遠ざかっていく。
自分だけが取り残されてみんなとは違う世界にいるようで、そのことに少しの孤独感と、大きな安心感を覚えた。
やっと息がつける。
周囲に誰もいないことを確認して、マスクを少し浮かせて大きく息を吸い込んだ。
しばらくそうしていて、ふと気がついた。
私が今いる場所は、旧館の入り口。
視線を投げると、まっすぐに廊下が伸びている。
その先にあるものに目を奪われて、気がついたら足を踏み入れていた。
廊下の右側には、奥までずっと窓が続いている。
窓ガラスごしに明るい陽射しが差し込み、床や壁にはくっきりとした陰影ができていた。
左側には、本来なら特別教室が並んでいて入り口のドアや窓があるはずだけれど、今は全て白いペンキを塗ったベニヤ板で覆われている。
そして、等間隔に並べて飾られた額縁たちが、反対側から射し込む光に浮かび上がっていた。
その幻想的な雰囲気に目を奪われた。
今の私には眩しすぎる光から目を背け、左側の絵を見ながらゆっくりと歩いていく。
絵の善し悪しは分からないけれど、どれも丁寧に描かれているのは分かった。
作品の横に貼られた説明書きを見ると、一年生の女子が描いたものらしい。