波立った気持ちが溢れて、胸の奥から込み上げて、嗚咽と涙になろうとする。

それを必死に抑える。


うぅ、と小さく呻いて私は頭を抱えた。

目頭がじん、と熱くなる。

ぎゅっと目を瞑って、溢れそうな涙をこらえた。


ドアの向こうの教室から、さっきまでとは打って変わって、にぎやかで活気のある雰囲気が伝わってくる。

青磁を呼ぶ声が色々なところからあがっている。


私を呼ぶ声はない。

私は誰にも求められていない。


あんなに頑張っていたのに。


握った拳に力を込めると、伸びた爪が手のひらに刺さって痛かった。


苦しい。

どこかに行きたい。

ここではないどこかに。


でも、私はどこにもいけない。

ここにいなければいけないから。


でも、もういやだ。

苦しい、つらい。


「おい」


頭上から降ってくる声。


「茜」


顔は上げられない。

こいつにだけは、涙なんか、弱味なんか、見せたくない。


「……みんなのこと、動かしてくれて、ありがと」


なんとかそれだけは口にした。

青磁の返事はない。


「助かった、すごく……本当に」


声が詰まってしまい、言葉をのみこむ。

喉の奥がきゅうっと鳴った。