そして三つ目。

青磁はどうやら、見た目に似合わず、絵が上手いらしい。

中学の頃から、いくつもの展覧会やコンクールで、最優秀賞やら大賞やらを受賞しているという。

ついこの前は審査員特別賞かなにかを受賞して、全校集会で表彰されていた。


そういうわけで、彼は何もしていなくても目立つ上に、人目にさらされる機会も多くて、青磁のことを知らない人はいないんじゃないか、と思われるほどだった。


そのせいだろう、クラスでも青磁はどこか特別扱いをされていて、みんなから一目置かれていて、誰もが彼の言動に注目しているのだ。


あんなに嫌なやつなのに。

みんな、どうかしてる。

私はあんな傍若無人で無神経なやつ、大嫌いだ。


それなのにどうしてみんな、あいつを普通に受け入れているんだか。

忌々しさに舌打ちでもしてやりたい気分だったけれど、私はそれを顔に出すことはなかった。


だって、私は、『優等生』だから。


「おーい丹羽、これ頼むな」


担任にプリントを渡されて、私は笑顔で「はい」と答える。

この先生が、学級委員長としての私に全幅の信頼を寄せているのは、言葉のはしばしから伝わってきた。

努力の賜物だと思う。

私は我ながら本当に真面目な生徒で、勉強はきちんとやるし、だからといってがり勉な一匹狼などではなく、他の生徒とのコミュニケーションも欠かさない。

絵に描いたような優等生だ。


だから、クラスのみんなも私の話はよく聞いてくれる。

……ただ一人を除いては。