みんなの視線が控え目に、でも一斉に私に集まる。

私は無意識にマスクを引き上げ、目の下まで覆った。


先生が驚いたように目を丸くして、それから少し呆れたように肩をすくめる。


「おいおい、珍しいな、どうしたんだ? しっかりしてくれよ、丹羽。お前がそんなんじゃ、みんなに示しがつかんだろ」


みんなに示しって。私はただの生徒なんだけど。

でも、学級委員長は授業中に居眠りしたりぼんやりしたりしてはいけない、という先生の考えもなんとなく理解できた。

小学生のころから委員長を任されることが多かったので、今までの経験からもそれは想像できた。


「すみません。集中します」


マスクの中で謝ると、「まあいい、座れ」と先生からお許しが出たので、小さなため息とともに腰を下ろした。


シャーペンの先をもう一度爪の際に刺して、気持ちを切り替える。


その日の補習はなんとか乗りきれたけれど、この日常があと約一ヶ月も続くのだと考えると、目の前が暗くなるような気がした。


午後の補習が終わってから教室に行くと、五、六人のクラスメイトが集まっていた。


「みんな、来てくれてありがとう」


と声をかけたものの、教室の中を見回して、内心げんなりしてしまった。


文化祭の準備をしている気配が全くない。