やばいなあ、と頭の片隅で思った。


体育が終わった後の六時間目。

明らかに体調が悪化していた。


生理痛だと思っていたけれど、もしかしたら風邪かもしれない。

頭痛はひどくなる一方で、身体が熱っぽい。


でも、あと一時間だし、なんとか頑張りたい。

去年に引き続いて皆勤をとりたいから、保健室で休むのも早退するのも嫌だった。


現代文の授業だし、とにかく一時間座っていればいいのだから、何とかなるだろう。

そう思っていたのに。


「えー、今日はですねえ、ちょっといつもとは趣向を変えて、表現の授業をしようと思います」


先生の言葉を聞いた瞬間、嫌な予感がよぎった。

講義形式の授業なら黙って座っていればいいけれど、表現ということは演習や実技形式の授業になるだろう。

そうなれば、静かに身体を休めることなどできるわけがない。


「はい、それではグループを作って……」


先生の指示に従って班を作る。

当たり前だけれど、青磁と向かい合わせになって、それだけで私の体調はさらに悪化した気がした。


「今日やるのは、『自己紹介』ならぬ『他者紹介』です」


先生が黒板に大きく文字を書いた。

ああ、いかにも面倒くさそうだ。