これはさすがに八つ当たりだな、と内心反省しつつ、しばらく試合を観戦した。


スポーツにはあまり詳しくないけれど、お兄ちゃんがサッカー少年だったので小学生の頃は時々クラブチームの試合を見に行ったりしていて、サッカーだけは多少ルールを知っていた。

なので、見ていると割と楽しい。


青磁は縦横無尽にコートの中を走り回り、敵の裏をついたパスを繰り出し、チャンスが来るとここぞとばかりにゴールを決める。

性格通りの生意気なプレイだ。


ただ、悔しいけれど、上手いと思う。

美術部のくせに、と言ったら他の美術部員に失礼だろうけど。


もともとの運動神経の良さに加えて、ちゃんとした技術も伴っている。

中学ではサッカー部だったのかもしれない。

でも協調性がなくて仲間と揉めて退部し、高校では文化部に、ってとこか。


やけに生き生きとプレイしていた青磁だけれど、しばらくすると、急に動きが悪くなった。

普段運動していないから体力不足で疲れたのか、はたまたやる気を無くしたのか。

気まぐれでマイペースな青磁のことだから、きっと後者だろう。


結局彼は最後までやる気のない様子のまま、だるそうに小走りをするだけで終わった。


「茜ー、始まるよー」


手招きされて、私は億劫さをひた隠しにしながら立ち上がった。