「最初はつまらなそうにしてたのにさ、お前、どんどんサッカーにはまっていって。練習で手抜いてるやつに駄目出ししたりとか、試合でも選手よりでかい声出したりとか、なんかうるさくてすげえ目立ってたから、いつの間にか顔、覚えたんだよ」


恥ずかしくて言葉が返せない。

昔の自分が出しゃばりだったことを痛感させられて、穴があったら入りたい気分になった。


「で、あるときさ、地元のクラブチームが集まって、親交試合みたいなのがあって」


青磁がそこまで言って、ふいに口を閉ざした。


「うん、で?」


先を促すように言うと、青磁はなぜか困ったような顔になり、それから、


「……やっぱ、この話はやめとこう」


と突然そっぽを向いた。


「は? なにそれ。気になるし。言いかけたんだから最後まで言ってよ」

「いや、たいした話じゃないから」

「それでもいいから、聞きたい」


青磁はやっぱり気乗りのしなさそうな顔をしている。


「今まで青磁と話せなかったから、たくさん話をしたいの。たくさん聞かせてほしいの」


私がじっと見つめながら言うと、彼は降参したように肩で息をした。


「お前、本当に覚えてないの? あの河川敷で、春に、サッカーの親交試合やったこと。お前も見に来てたんだよ」