来場者たちは、一枚一枚をしっかり見ている人もいれば、知り合いの作品を探すようにきょろきょろしながら歩いている人もいた。
数えきれないほどたくさんの作品に両側から見つめられながら、私はゆっくりと歩を進めた。
そして、その時は突然訪れた。
細い廊下が途切れて、一つの部屋に入る。
その壁の両側には、今までの作品たちよりもずいぶん余白をもった形でゆったりと展示されている絵が並んでいた。
上位入賞した作品なのだと、なんとなく分かった。
床に貼られた順路案内の矢印に従って左に曲がったそのとき、ぱっと視界が開けて、
瞬間――優しい薄桃色の光に満たされた。
息をのむ。
目の前に、見上げるほど大きな、淡い桃色の絵があった。
瞬きすらできずに、その絵を見つめる。
作者の名前なんか見なくても、その優しい色合いを見ただけで、それが青磁の絵だということが分かった。
そして、なによりも驚いたのは、
「――え、私……?」
呆然とした声が唇から洩れる。
美しい光と優しい色に満ちた絵の中心には、私がいた。
絵になった私がいた。
でも、それは私じゃなかった。
顔は私だけれど、表情も雰囲気も、まるで実物の私とは違う。
数えきれないほどたくさんの作品に両側から見つめられながら、私はゆっくりと歩を進めた。
そして、その時は突然訪れた。
細い廊下が途切れて、一つの部屋に入る。
その壁の両側には、今までの作品たちよりもずいぶん余白をもった形でゆったりと展示されている絵が並んでいた。
上位入賞した作品なのだと、なんとなく分かった。
床に貼られた順路案内の矢印に従って左に曲がったそのとき、ぱっと視界が開けて、
瞬間――優しい薄桃色の光に満たされた。
息をのむ。
目の前に、見上げるほど大きな、淡い桃色の絵があった。
瞬きすらできずに、その絵を見つめる。
作者の名前なんか見なくても、その優しい色合いを見ただけで、それが青磁の絵だということが分かった。
そして、なによりも驚いたのは、
「――え、私……?」
呆然とした声が唇から洩れる。
美しい光と優しい色に満ちた絵の中心には、私がいた。
絵になった私がいた。
でも、それは私じゃなかった。
顔は私だけれど、表情も雰囲気も、まるで実物の私とは違う。