「それはまあ、見てたらなんとなく分かるわよ。でも、ぜひ茜ちゃんに見て欲しいの」
「でも……青磁は口止めしてたんですよね? 受賞したこと、私には知られたくないってことでしょう? つまり絵も見られたくないんですよ……」
私は青磁の絵が大好きだから、もちろん見たい。
彼の絵が大きな美術館に飾られるのならなおさら、絶対に見たい。
でも、そんな喜びの場に押しかけて嫌な思いはさせたくない。
「そう、口止めされた。俺の絵が飾られるってことは、美術部以外の誰にも言わないでほしいって。特に茜ちゃんには絶対に言わないでくれって」
「……そう、ですか」
改めて青磁に強く拒まれていることを実感させられて、つらかった。
「でもね」
里美さんがはっきりとした声で言う。
思わず顔をあげると、目が合った。
「深川くんが茜ちゃんにどんな態度をとってるのか、なにを言ってるのか、私は知らないけど」
里美さんはにっこりと微笑んで言った。
「きっと、あの絵が彼の本心よ。あの絵には、彼が言葉に出せない気持ちが全て込められているんだと思う」
「………」
「あの絵を見てると、彼の心の叫びが聞こえてきそうな気がしたもの。それくらい、素晴らしい力をもった絵なの」
里美さんがふっと首を巡らせて窓の外を見た。
冬らしい、白っぽい空が広がっている。
「……あなたにあの絵を見てほしい。だから、口止めされていたけどどうしても言いたかったのよ」
「でも……青磁は口止めしてたんですよね? 受賞したこと、私には知られたくないってことでしょう? つまり絵も見られたくないんですよ……」
私は青磁の絵が大好きだから、もちろん見たい。
彼の絵が大きな美術館に飾られるのならなおさら、絶対に見たい。
でも、そんな喜びの場に押しかけて嫌な思いはさせたくない。
「そう、口止めされた。俺の絵が飾られるってことは、美術部以外の誰にも言わないでほしいって。特に茜ちゃんには絶対に言わないでくれって」
「……そう、ですか」
改めて青磁に強く拒まれていることを実感させられて、つらかった。
「でもね」
里美さんがはっきりとした声で言う。
思わず顔をあげると、目が合った。
「深川くんが茜ちゃんにどんな態度をとってるのか、なにを言ってるのか、私は知らないけど」
里美さんはにっこりと微笑んで言った。
「きっと、あの絵が彼の本心よ。あの絵には、彼が言葉に出せない気持ちが全て込められているんだと思う」
「………」
「あの絵を見てると、彼の心の叫びが聞こえてきそうな気がしたもの。それくらい、素晴らしい力をもった絵なの」
里美さんがふっと首を巡らせて窓の外を見た。
冬らしい、白っぽい空が広がっている。
「……あなたにあの絵を見てほしい。だから、口止めされていたけどどうしても言いたかったのよ」