教室でつかまえて話をしようと思っていたけれど、青磁は決して私が近づけないように距離を置いていて、どうしても声をかけられなかった。
だから、美術室に押しかけるしかないと思ったのだ。
ここでなら青磁も私と距離をおけないし、私を無視することもできないだろう。
そう思っていたのに、青磁は今日は美術室にはいない。
「深川くんを待ってるの?」
ふいに声がして、顔をあげると、里美さんがこちらを見ていた。
「はい」
頷きながら答えると、里美さんが「そう」と小さく言った。
「深川くんは最近はここでは描かないのよ」
「え……じゃあ、屋上ですか?」
「こんなに寒いのに、それは無理でしょう。たぶん、家で描いてるんじゃないかしら」
ショックで目の前が暗くなった。
教室では彼と話せなくても、美術室に来れば会えるはずと、一縷の望みをかけていたのに。
ここがだめなら、いったいどうやって青磁をつかまえればいいのだろう。
絶望的な気持ちでぼんやりと窓の外を眺めていたら、里美さんがこちらにやって来た。
「あのね、茜ちゃん」
彼女が私の隣の席に腰を下ろす。
「はい」
「本当は深川くんから口止めされてるんだけど」
なんの話が始まったのかと、私は目を瞬かせながら里美さんを見上げた。
彼女は一瞬、少し困ったような顔をして、それから意を決したように口を開いた。
だから、美術室に押しかけるしかないと思ったのだ。
ここでなら青磁も私と距離をおけないし、私を無視することもできないだろう。
そう思っていたのに、青磁は今日は美術室にはいない。
「深川くんを待ってるの?」
ふいに声がして、顔をあげると、里美さんがこちらを見ていた。
「はい」
頷きながら答えると、里美さんが「そう」と小さく言った。
「深川くんは最近はここでは描かないのよ」
「え……じゃあ、屋上ですか?」
「こんなに寒いのに、それは無理でしょう。たぶん、家で描いてるんじゃないかしら」
ショックで目の前が暗くなった。
教室では彼と話せなくても、美術室に来れば会えるはずと、一縷の望みをかけていたのに。
ここがだめなら、いったいどうやって青磁をつかまえればいいのだろう。
絶望的な気持ちでぼんやりと窓の外を眺めていたら、里美さんがこちらにやって来た。
「あのね、茜ちゃん」
彼女が私の隣の席に腰を下ろす。
「はい」
「本当は深川くんから口止めされてるんだけど」
なんの話が始まったのかと、私は目を瞬かせながら里美さんを見上げた。
彼女は一瞬、少し困ったような顔をして、それから意を決したように口を開いた。