私が今までに感じていた違和感を、お兄ちゃんが言葉にしてくれたような気がした。


そうだ、青磁は苛立ったことにいつまでもこだわって、しつこく怒りをもちつづけるような性格ではない。


それなのに、今回は彼らしくない対応をしている。


なにかがおかしい。

違和感がどんどん濃くなって、不安が大きくなる。


青磁に会いたい。

無視されても、冷たくされても、嫌がられてもいい。


会って、確かめたい。


私は勢いよく立ち上がった。

お兄ちゃんが目を細めて私を見上げる。


「茜」


呼ばれて、私は視線を落とした。

心配そうな色を浮かべた目が私を見ている。


「青磁のこと、好きなのか」


私はこくりと頷いた。

お兄ちゃんが「そうか」と小さく頷く。


「病気持ちのやつを好きになったら、お前は大変な思いをすることになるぞ」


私はまた頷いた。


「たぶん、お前が思ってるよりずっと大変だぞ。それでもあいつがいいのか?」


唇に笑みが浮かぶのが分かった。


「そんなの、」


言うまでもない。