これ以上開けない、というくらいに目を見張ってお兄ちゃんを凝視する。

どうやら冗談ではないらしい。


「小学生のとき……? でも、青磁とは学校も違うし」

「学校じゃなくて、俺が小学生のころに入ってたサッカークラブだよ」


本当に覚えてないのか、とお兄ちゃんは少し呆れた顔をした。


「同じクラブに青磁も入ってたんだよ。学年は違ったけど、あいつはサッカー上手かったから、俺らの代のときからレギュラーに入ってた。だから同じ試合にも出てたよ」


まさか、と思ったけれど、よく考えればそれで色々な符号が合うような気もした。


体育のサッカーのときに、青磁は目を惹くほどに際立って上手かった。

あの朝焼けを見た日、河川敷のサッカーコートの話をしたとき、彼の様子は少しおかしかった。


「お前はたまに練習とか試合を観に来てたから、青磁とは会ってるはずだ」

「そう……そうだね。お兄ちゃんと同じチームにいたなら、何回も会ってるよね」

「あいつは茜になにも言ってないのか? 昔会ってるとか」

「ううん、なにも……。たぶん青磁も覚えてないんじゃないかな。覚えてたら言うだろうし……」

「そうか……」


お兄ちゃんはテーブルに頬杖をついて、天井と壁の境目のあたりをじっと見ながら、難しい顔をしていた。


「お前が最近暗いのは、もしかして、あいつの病気のせい?」

「……え?」


――病気。

唐突に打ち付けられたその言葉に、頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。

どくどくっ、と心臓が嫌な音を立てる。