自分の部屋に入ると、ほっと全身の力が抜けるのを感じた。

ふうっと息を吐き出す。


ベッドに横になりたかったけれど、そのまま寝てしまいそうな気がしたので、素通りして机に向かう。

その途中で、何気なくスタンドミラーを見た。


瞬間、どきりとする。


私ってこんな顔だったっけ。

鏡の中の人物は、ネジが緩んだような、全体的にピントがずれたような印象の顔をしている。


胸のあたりがざわざわとして気持ちが悪い。


思わず鏡から顔を背けて、すぐ横のクローゼットの中にある引き出しを開ける。

その中に、マスクの箱が入れてあった。

五十枚入りの安売りのマスクが二箱。

いちばん枚数がたくさん入っているものを選んでいるけれど、それでも、一日に二、三枚は使うので一ヶ月もしないうちに無くなってしまう。


マスクを常に付けておかない落ち着かないことなんて、家族の誰にも知られたくなくて、自分のお小遣いを使って買ったものだ。

いつも学校帰りにドラッグストアに寄って買ってきている。


箱の中から十枚ほどを取り出して、机の上に置いた。

あとで忘れないように鞄に入れておかないと。

もしも学校でマスクを切らしてしまったら、たぶん私は授業にも出られない。