精いっぱいの気持ちを、出来る限りの言葉にしてぶつけた。

でも、青磁の表情は変わらなかった。


すがるように、青磁、と呟くと、


「……知らねえよ」


氷のように冷たい言葉が私に突き刺さった。

息をのんで目を見張り、青磁を見つめる。


彼はちらりとも私を見ないまま、虚空を睨んで言った。


「知らねえよ、お前の気持ちなんか」


どくどくどく、と動悸が高鳴る。

耳が痛いくらいに全身が脈うっている。


「俺は、お前とは話したくない。だから、もう二度と話しかけるな」


冷たい、冷たい声だった。

情けのかけらもない言葉だった。


呆然と立ち尽くしていると、青磁はそのまま早足で歩き出して、廊下の突き当たりで曲がって姿を消した。



しばらく凍えた廊下に立ちすくんでいた。


もう、駄目なんだ。

本当にもう終わりなんだ。


青磁はもう二度と私と近づくつもりはない。

それが嫌というほどに分かった。


あんなに近くにいたのに。

たくさんの時間を共に過ごして、二人きりの世界を共有していたのに。

二人でいるのが当たり前のようだったのに。


もう二度と、あの時間は帰ってこない。



青磁がいなくなった廊下は、震えが止まらないほどに寒かった。