手をつないで脱衣所に連れていき、タオルで髪を拭いてやってからパジャマを着せて、ドライヤーで髪を乾かす。

機嫌がよくてにこにこしている玲奈は、天使のように可愛かった。


乾かし終わったときにお母さんが浴室から出てきて、「あ、そうだ、茜」と声をあげた。


「明日、玲奈のお迎えよろしくね」

「ああ、そっか、明日は遅番だよね」


お母さんのパートが遅番のときは、いつも玲奈のお迎えは私が行っている。

学校帰りに保育園に行くのは回り道だし、玲奈を連れて歩くのは大変なので、正直なところ気が重いのだけれど、仕方がない。


「そうそう。最近ね、バイトの大学生が何人もやめちゃったから、夜入れる人が少なくて」


お母さんだって小さい子供がいるんだから、他の人に代わってもらえばいいのに。

頭の片隅にそんな考えが浮かんだけれど、すぐに打ち消した。


お母さんが髪を乾かし始めると、かまってもらえない玲奈が私にしがみついてくる。


「おねえちゃん、えほん、よんで」


ああ、勉強しないといけないのに、と少し思ったけれど、玲奈は読み聞かせは私の役割だと思っているようなので、仕方がない。

私は「はいはい、ベッドの部屋いこうか」と微笑みかけた。