最低だ。

心配してくれた人に、あんな仕打ちをするなんて。

手を振り払って、睨みつけて、怒鳴った。

自分があんなことをしてしまうなんて、思いもしなかった。


いや、違う。

私は本当はああいう人間だ。

相手の気持ちも考えずに、自分の感情をぶつけて、相手を傷つける。

そういう最低の人間だ。


分かっているから、それを必死に隠して生きてきたのに。


マスクで本心を隠すことに慣れてしまって、頼りすぎてしまって、手離せなくなって、

そして結局、マスクを外されたことで逆上してしまって、彼女を傷つけた。


酷いことを言ってしまった。


苦しくて、息を吸い込みたくて、唇を少し開く。

うあ、と声が洩れた。

それでたがが外れたようになってしまって、私はぼろぼろ涙をこぼしながら、声をあげて泣いた。


自分の感情のコントロールができない。


傷ついた顔は見たくないのに、言ってはいけないことを言ってしまう。

泣く資格なんかないのに、泣いてしまう。


自分の泣きわめく声をどこか他人事のように遠く聞きながら、私は美術室の片隅で泣きつづけた。