青磁と私がしたデートらしきものといえば、河原で朝焼けを見たこと。

青磁が私にプレゼントしてくれたものといえば、手作りの水鉄砲から発射された、降り注ぐ光の雨。


どちらも、信じられないほど綺麗だった。

たぶん一生、私の目に灼きついて離れない。


一生の宝物を青磁はたくさん私にくれたのだ。

そんなことを思って一人で恥ずかしくなっていたら、


「私が思うにね」


と沙耶香が急に真剣な顔をして言った。。


「青磁のほうも、茜のこと、好きだと思うんだよね」


また動悸が早くなる。

なにも返せずにいると、彼女はさらに言葉を続けた。


「だって、青磁って、もともとは自分のことしか見えてないっていうか、あ、悪い意味じゃなくてね?」

「うん、分かるよ」

「なんていうか、自分以外には興味ない、って感じで、私たちとは違う次元で生きてるな、って気がしてたんだよね」

「そうだね。なんだろ、宇宙人、みたいな?」

「そうそう!」


私も数ヵ月前まではそう思っていた。

なにを考えているのか分からない、ひとりだけ別世界で生きているような、理解不能な存在。


それは今でも変わらないけれど、少しは彼と同じ場所に立てるようになって、前よりは近づけたと思う。


「でもさ、今はちょっと違う印象」


沙耶香が微笑みながらそう言った。


「青磁はさ、茜に対しては、人間味がある気がする。あいつのほうから茜にどんどん話しかけるし、茜としゃべってるときは、私たちと違う人種って感じはしなくなった」


予想もしなかった彼女の言葉に、私は目を瞬かせる。