食事を終えたお父さんが食器を持ってきてくれたので、それも洗って、私はやっと一息つける状態になった。


リビングはこれから、お母さんとお父さんと玲奈の団欒の時間になる。

私はテレビを見たい気持ちを呑み込んで、自分の部屋に上がった。


倒れ込むようにベッドに座り、そのまま寝転ぶ。

しばらく、何もない天井をぼんやりと眺めていた。


でも、英語の長文読解と古典の予習をしなければならないことを思い出し、重い身体をなんとか起き上がらせる。

数Ⅱの課題もあるから、早く取りかからないとまた寝るのが遅くなってしまう。


机の前に座ったところで、いきなりドアが勢いよく開いた。


「おねーちゃん!」


飛び込んできた玲奈が腰に抱きついてくる。

びしょ濡れの髪に、裸のままの身体。


「もう、また服着てない」

「あついもん」

「暑くても着ないと風邪ひいちゃうの。髪拭きタオルは?」

「えー?」


玲奈は首をかしげるだけだった。

お風呂上がりにはタオルを持ってきなさいと何度も言っているのに、分からないのか、わざとなのか、いつも濡れ髪のまま脱衣所から出てきてしまう。


お母さんはいつも、玲奈を先に上がらせてからゆっくりヘアトリートメントやフェイシャルパックをするので、お風呂上がりの玲奈の世話は私がすることになる。