青磁が空を描く。
迷いのない手つきで、ひたすらに色を塗っていく。
思いつくままに適当に色をのせているように見えるのに、だんだんと色に意味が加えられて、いつの間にか空になっている。
何度見ても飽きない、鮮烈で美しい空の絵。
「――時間は」
夢中になって手を動かしながら、青磁がぽつりと言った。
「永遠じゃないんだよな……」
彼らしくない、色のない声だった。
「この穏やかな時間がいつまでも続いて、終わりなんかないみたいに思えるけど……違うんだよな。そんなはずないもんな。いつか必ず終わりは来るんだ」
私に話しかけているわけではなく、ただ、確かめるように、噛み締めるように語る。
邪魔をしてはいけないような気がして、私は彼の手が美しい空を創り出していくのを見つめながら、その言葉の続きを待った。
「なあ、茜」
呼びかけられて、私は目をあげて彼を見た。
青磁の硝子玉の瞳に、空と私が映っている。
「朝焼けを見に行こう。とても綺麗に見える場所を、俺は知ってるんだ」
なにかを考えるよりも先に、うん、と私の唇が答えた。
「見たい。行こう」
迷いのない手つきで、ひたすらに色を塗っていく。
思いつくままに適当に色をのせているように見えるのに、だんだんと色に意味が加えられて、いつの間にか空になっている。
何度見ても飽きない、鮮烈で美しい空の絵。
「――時間は」
夢中になって手を動かしながら、青磁がぽつりと言った。
「永遠じゃないんだよな……」
彼らしくない、色のない声だった。
「この穏やかな時間がいつまでも続いて、終わりなんかないみたいに思えるけど……違うんだよな。そんなはずないもんな。いつか必ず終わりは来るんだ」
私に話しかけているわけではなく、ただ、確かめるように、噛み締めるように語る。
邪魔をしてはいけないような気がして、私は彼の手が美しい空を創り出していくのを見つめながら、その言葉の続きを待った。
「なあ、茜」
呼びかけられて、私は目をあげて彼を見た。
青磁の硝子玉の瞳に、空と私が映っている。
「朝焼けを見に行こう。とても綺麗に見える場所を、俺は知ってるんだ」
なにかを考えるよりも先に、うん、と私の唇が答えた。
「見たい。行こう」