玉ねぎをみじん切りにしてフライパンで炒め、あら熱をとってから挽き肉と混ぜ合わせる。
調味料と卵を加えて、パン粉をふりかけ、牛乳を少し垂らしてさらに捏ねていく。
熱したフライパンに油を引いたところで、みしっという足音が聞こえて私は顔を上げた。
リビングのドアからのっそりと入ってくる人影。
お兄ちゃんだ。
寝癖だらけのぼさぼさ髪と、上下スウェットという格好から、今日も学校に行かなかったのだと分かった。
「お兄ちゃん、晩ご飯ハンバーグだよ」
笑って声をかけたけれど、お兄ちゃんはちらりと見て小さく唸っただけだった。
ハンバーグはお兄ちゃんの大好物で、昔はお母さんがこうやって種を捏ねていると嬉しそうに覗きこんでいたのに。
最近はご飯のメニューになど全く関心がないようだ。
お兄ちゃんはぼんやりとした顔で台所に入ってきて、冷蔵庫からコーラのペットボトルを出してそのままリビングを出ていってしまった。
種を成形してフライパンにのせながら、不登校の引きこもりってやつなんだろうな、と思う。
高校に入ってしばらくしてから、お兄ちゃんは学校に行かなくなった。
理由は分からない。
進学校だから勉強がきつかったのかもしれないし、朝練が大変そうだった部活で何かあったのかもしれないし、知り合いがいない学校だったから友達ができなかったのかもしれない。
でも、成績はそれほど悪くなかったらしいし、サッカー部の仲間としょっちゅう遊びに行ったりして楽しそうにしていたのに。
とにかくお兄ちゃんは学校に行かず高一で休学扱いのまま、もうすぐ十八歳になろうとしていた。
調味料と卵を加えて、パン粉をふりかけ、牛乳を少し垂らしてさらに捏ねていく。
熱したフライパンに油を引いたところで、みしっという足音が聞こえて私は顔を上げた。
リビングのドアからのっそりと入ってくる人影。
お兄ちゃんだ。
寝癖だらけのぼさぼさ髪と、上下スウェットという格好から、今日も学校に行かなかったのだと分かった。
「お兄ちゃん、晩ご飯ハンバーグだよ」
笑って声をかけたけれど、お兄ちゃんはちらりと見て小さく唸っただけだった。
ハンバーグはお兄ちゃんの大好物で、昔はお母さんがこうやって種を捏ねていると嬉しそうに覗きこんでいたのに。
最近はご飯のメニューになど全く関心がないようだ。
お兄ちゃんはぼんやりとした顔で台所に入ってきて、冷蔵庫からコーラのペットボトルを出してそのままリビングを出ていってしまった。
種を成形してフライパンにのせながら、不登校の引きこもりってやつなんだろうな、と思う。
高校に入ってしばらくしてから、お兄ちゃんは学校に行かなくなった。
理由は分からない。
進学校だから勉強がきつかったのかもしれないし、朝練が大変そうだった部活で何かあったのかもしれないし、知り合いがいない学校だったから友達ができなかったのかもしれない。
でも、成績はそれほど悪くなかったらしいし、サッカー部の仲間としょっちゅう遊びに行ったりして楽しそうにしていたのに。
とにかくお兄ちゃんは学校に行かず高一で休学扱いのまま、もうすぐ十八歳になろうとしていた。