駅の北口を出ると、色とりどりの傘がロータリーを埋め尽くしていた。
「最近、雨が多いなー」
片手にぶらさげていたビニール傘を開きながら、青磁が言う。
「だね。先週も……」
水色の折り畳み傘を開きながら答えたけれど、途中で言葉が止まってしまった。
黙ったまま足を踏み出すと、青磁も並んで歩き出す。
「あー、寒い」
青磁は肩に乗せたビニール傘をくるくると回している。
ときどき水滴が飛び散って、私の傘に当たり、ぽっと音を立てて跳ねた。
「あ。俺が休んだ日の分のノート、写させて」
思いついたように彼が言ったので、私は少し俯いたままこくりと頷いた。
「一冊百円ね」くらいの冗談のひとつでも言ってやればよかったのに、やっぱりうまく言葉が出ない。
雨に濡れたアスファルトを踏むローファーの爪先を見つめてたら、青磁が「なんかさあ」と声をあげた。
下を向いたまま「ん?」と返す。
「お前、今日、なんか静かじゃね? 風邪でも引いた?」
べつに、と私はすぐに首を振った。
少し考えて、いい言い訳を思いつく。
「寒いから、口があんまり動かないだけ」
「あっそ。ならいいけど」
青磁はやっぱり傘をくるくる回しながら言った。
学校までの道が妙に長く感じられた。
「最近、雨が多いなー」
片手にぶらさげていたビニール傘を開きながら、青磁が言う。
「だね。先週も……」
水色の折り畳み傘を開きながら答えたけれど、途中で言葉が止まってしまった。
黙ったまま足を踏み出すと、青磁も並んで歩き出す。
「あー、寒い」
青磁は肩に乗せたビニール傘をくるくると回している。
ときどき水滴が飛び散って、私の傘に当たり、ぽっと音を立てて跳ねた。
「あ。俺が休んだ日の分のノート、写させて」
思いついたように彼が言ったので、私は少し俯いたままこくりと頷いた。
「一冊百円ね」くらいの冗談のひとつでも言ってやればよかったのに、やっぱりうまく言葉が出ない。
雨に濡れたアスファルトを踏むローファーの爪先を見つめてたら、青磁が「なんかさあ」と声をあげた。
下を向いたまま「ん?」と返す。
「お前、今日、なんか静かじゃね? 風邪でも引いた?」
べつに、と私はすぐに首を振った。
少し考えて、いい言い訳を思いつく。
「寒いから、口があんまり動かないだけ」
「あっそ。ならいいけど」
青磁はやっぱり傘をくるくる回しながら言った。
学校までの道が妙に長く感じられた。