ペンを盗もうとしていた彼女は、明るくて可愛くて運動が得意で、みんなの人気者だった。
それでも人のものを盗るのは悪いことのはずなのに、みんなから味方されて庇われたのは、正しいことを言ったはずの私ではなく、人気者の彼女のほうだった。
『茜ちゃん、ひどい』
『なんでみんなの前でそんなこと言うの?』
『かわいそうだよ』
『ひどいよね、最低だよね』
『謝りなよ』
なんで私が責められるの、なんで謝らなきゃいけないの。
そんな気持ちが邪魔をして、私はその場では謝れなかった。
クラス中の女子に囲まれて睨まれながら、押し黙っていた。
そこに先生が入ってきて騒ぎは収まったけれど、その日から私は、クラスの女子全員から無視されるようになった。
次の日に彼女に『昨日はごめんね』と謝ったけれど、視線すら合わせてもらえなかった。
周りの女子たちも無言だった。
盗まれた香りペンの持ち主の子でさえ、私と口をきいてくれなくなった。
誰かが私を無視しようと言い出したのか、それともクラスの雰囲気がそうさせたのか、本当のところは分からないけれど、
私はその日から、クラスの中でただの『空気』になった。
嫌がらせをされたり、なにかを言われたりはしなかったけれど、誰も私を見ない。
自分ひとりが幽霊になったみたいだった。
それでも人のものを盗るのは悪いことのはずなのに、みんなから味方されて庇われたのは、正しいことを言ったはずの私ではなく、人気者の彼女のほうだった。
『茜ちゃん、ひどい』
『なんでみんなの前でそんなこと言うの?』
『かわいそうだよ』
『ひどいよね、最低だよね』
『謝りなよ』
なんで私が責められるの、なんで謝らなきゃいけないの。
そんな気持ちが邪魔をして、私はその場では謝れなかった。
クラス中の女子に囲まれて睨まれながら、押し黙っていた。
そこに先生が入ってきて騒ぎは収まったけれど、その日から私は、クラスの女子全員から無視されるようになった。
次の日に彼女に『昨日はごめんね』と謝ったけれど、視線すら合わせてもらえなかった。
周りの女子たちも無言だった。
盗まれた香りペンの持ち主の子でさえ、私と口をきいてくれなくなった。
誰かが私を無視しようと言い出したのか、それともクラスの雰囲気がそうさせたのか、本当のところは分からないけれど、
私はその日から、クラスの中でただの『空気』になった。
嫌がらせをされたり、なにかを言われたりはしなかったけれど、誰も私を見ない。
自分ひとりが幽霊になったみたいだった。