あまり上手くはない口笛を、それでもやけに楽しげに吹きながら、とんとんとん、と階段をのぼっていく後ろ姿。
その背中を追いかけて資料室に入り、いつものようにロープを伝って屋上に出る。
「そのへん座ってな」
青磁に言われた通り、私は屋上の真ん中あたりに腰を下ろした。
すっかり秋になっているけれど、日当たりの良い屋上は外とはいえぽかぽかと温かい。
ついこの間まで屋上は暑いなと思っていたのに、月日の流れは早いものだ。
心地よさに思わず、空を仰ぎながら目を閉じると、突然頬にぴっと冷たさを感じた。
驚いて目を開け、頬に手を触れる。わずかに水滴がついて濡れていた。
「ははっ、びっくりしたか?」
視線を動かして青磁を見ると、悪戯っぽく笑った目と目が合う。
「え、なにこれ……水?」
訊ねると、青磁は手に持っていたペットボトルを私の顔の前に突き出した。
「手作り水鉄砲!」
じゃーん、とでも言いたげな表情で高らかに宣言されて、小学生か、と突っ込みたくなった。
けれど、我慢する。
楽しそうな笑顔を見ていたら、言えなかった。
「へえ、ペットボトルで水鉄砲なんて作れるんだ」
「おう。千枚通しで蓋に穴あけて、ストロー刺して、終了。簡単だろ」
青磁がボトルを軽く握ると、蓋から飛び出したストローからけっこう勢いよく水が飛び出した。
その背中を追いかけて資料室に入り、いつものようにロープを伝って屋上に出る。
「そのへん座ってな」
青磁に言われた通り、私は屋上の真ん中あたりに腰を下ろした。
すっかり秋になっているけれど、日当たりの良い屋上は外とはいえぽかぽかと温かい。
ついこの間まで屋上は暑いなと思っていたのに、月日の流れは早いものだ。
心地よさに思わず、空を仰ぎながら目を閉じると、突然頬にぴっと冷たさを感じた。
驚いて目を開け、頬に手を触れる。わずかに水滴がついて濡れていた。
「ははっ、びっくりしたか?」
視線を動かして青磁を見ると、悪戯っぽく笑った目と目が合う。
「え、なにこれ……水?」
訊ねると、青磁は手に持っていたペットボトルを私の顔の前に突き出した。
「手作り水鉄砲!」
じゃーん、とでも言いたげな表情で高らかに宣言されて、小学生か、と突っ込みたくなった。
けれど、我慢する。
楽しそうな笑顔を見ていたら、言えなかった。
「へえ、ペットボトルで水鉄砲なんて作れるんだ」
「おう。千枚通しで蓋に穴あけて、ストロー刺して、終了。簡単だろ」
青磁がボトルを軽く握ると、蓋から飛び出したストローからけっこう勢いよく水が飛び出した。