私と青磁の関係に名前をつけるのは、とても難しい。
もちろん恋人同士ではないし、かといって友達でもない。
放課後も一緒にいるとはいえ、ただふたりで肩を並べて黙って空を見ているだけで、
そこには男女の甘い雰囲気なんて一切ないし、なんでも話せる親友のような打ち解けた空気が流れているわけでもない。
ただ、同じ空間にいて、同じ時間を共にしているだけ。
もしも、あなたにとって青磁ってなに? と訊かれたら、私は『青磁は青磁』と答えるしかない気がする。
彼の存在に名前をつけることはできない。
そんなことを考えているうちに、空き教室の噂話はどんどん盛り上がっていく。
「私そういえば今朝、学校来る途中で見かけたよ。なんか仲良さげにぴったりくっついて歩いてた」
いやいやいや、と心の中で突っ込む。
確かに一緒には歩いていたけれど、断じてぴったりくっついてはいない。
それなのに、
「えー、そうなんだ!」
「うっわ、ほんと意外、あの青磁くんが女の子とベタベタするとか!」
「想像できなーい!」
「それにさ、茜って子もなんか大人っぽいクールな感じなのに、付き合ったら甘えたりするんだねー」
ベタベタ? 甘える?
いったい誰の話をしているんだろう。
私と青磁ではありえない話ばかりだ。
ここまで勝手に話を誇張されると、反論する気力も湧かない。
こうやって噂には尾ひれがついていくんだな、と思った。
もちろん恋人同士ではないし、かといって友達でもない。
放課後も一緒にいるとはいえ、ただふたりで肩を並べて黙って空を見ているだけで、
そこには男女の甘い雰囲気なんて一切ないし、なんでも話せる親友のような打ち解けた空気が流れているわけでもない。
ただ、同じ空間にいて、同じ時間を共にしているだけ。
もしも、あなたにとって青磁ってなに? と訊かれたら、私は『青磁は青磁』と答えるしかない気がする。
彼の存在に名前をつけることはできない。
そんなことを考えているうちに、空き教室の噂話はどんどん盛り上がっていく。
「私そういえば今朝、学校来る途中で見かけたよ。なんか仲良さげにぴったりくっついて歩いてた」
いやいやいや、と心の中で突っ込む。
確かに一緒には歩いていたけれど、断じてぴったりくっついてはいない。
それなのに、
「えー、そうなんだ!」
「うっわ、ほんと意外、あの青磁くんが女の子とベタベタするとか!」
「想像できなーい!」
「それにさ、茜って子もなんか大人っぽいクールな感じなのに、付き合ったら甘えたりするんだねー」
ベタベタ? 甘える?
いったい誰の話をしているんだろう。
私と青磁ではありえない話ばかりだ。
ここまで勝手に話を誇張されると、反論する気力も湧かない。
こうやって噂には尾ひれがついていくんだな、と思った。