青磁は四月の自己紹介のときに、クラスのみんなの前で堂々と『俺は絵描きになる』と宣言していた。
そんなふうに、まっすぐに迷いなく好きだと言えるものが、私にはなかった。
だから、進路希望調査票の『希望学部』の欄も、『将来就きたい職業』の欄も、いつも『未定』と書いている。
青磁はきっと、『美大に行く』、『画家になる』とはっきり書いているのだろう。
いいなあ、夢がある人は。
夢なんて、無理やり見つけるものではないと思うけれど、それでも学校という場所では、将来の夢がないということはなんとなく後ろめたい。
そんなことを考えているうちに、いつの間にかうとうとしてしまったらしい。
微睡みの中で「茜」と青磁の声に呼ばれた私は、ゆっくりと瞼をあげた。
その瞬間、目を開けていられないほどの強い光を感じた。
「茜、起きろ」
鮮烈な光の中で、青磁が私を見ながら嬉しそうに笑っている。
「夕焼けが始まるぞ」
眩しくて瞼をもう一度閉じかけたけれど、彼の言葉で目が覚めた。
目の上に自分の手でおおいを作り、青磁が指差したほうへ顔を向ける。
西の地平線あたりの空に浮かぶ太陽が、直視できないほどに白い光を煌々と放っていた。
「眩しい……」
思わず呟くと、青磁が「だろ」と答える。
「太陽は、沈む寸前がいちばん明るいんだ」
そんなふうに、まっすぐに迷いなく好きだと言えるものが、私にはなかった。
だから、進路希望調査票の『希望学部』の欄も、『将来就きたい職業』の欄も、いつも『未定』と書いている。
青磁はきっと、『美大に行く』、『画家になる』とはっきり書いているのだろう。
いいなあ、夢がある人は。
夢なんて、無理やり見つけるものではないと思うけれど、それでも学校という場所では、将来の夢がないということはなんとなく後ろめたい。
そんなことを考えているうちに、いつの間にかうとうとしてしまったらしい。
微睡みの中で「茜」と青磁の声に呼ばれた私は、ゆっくりと瞼をあげた。
その瞬間、目を開けていられないほどの強い光を感じた。
「茜、起きろ」
鮮烈な光の中で、青磁が私を見ながら嬉しそうに笑っている。
「夕焼けが始まるぞ」
眩しくて瞼をもう一度閉じかけたけれど、彼の言葉で目が覚めた。
目の上に自分の手でおおいを作り、青磁が指差したほうへ顔を向ける。
西の地平線あたりの空に浮かぶ太陽が、直視できないほどに白い光を煌々と放っていた。
「眩しい……」
思わず呟くと、青磁が「だろ」と答える。
「太陽は、沈む寸前がいちばん明るいんだ」