「毎日言ってんじゃん、それ」


笑いをこらえながら言うと、青磁は不服そうに眉をあげた。


「いいだろ別に。毎日綺麗だって思うんだから」

「せめて『今日も』綺麗、でしょ」

「昨日の空と今日の空は別もんなんだから、勝手にひとまとめにしたら申し訳ないだろうが」

「申し訳ないって、誰に対して?」

「あー?」


首をひねった彼はそのまま空を見つめ、しばらくしてから私を見てこう言った。


「……神様、かな」


かみさま。

青磁の口から出るには似合わなすぎる言葉に、私は目を丸くする。


驚きで何も言えずにいると、青磁は自分の腕を枕に寝転がって、空に向かって深呼吸をした。


「……神様とか、信じるんだ。意外」


呟くと青磁がにやりと笑う。


「ま、いるんじゃねえの? 俺は会ったことねえけど」


青磁は自分が神だと言い出しそうなタイプだと思っていたので、とても意外だった。

こんな傍若無人な青磁でも、神様に頼み事をしたり、すがったり、祈ったりすることがあるのだろうか。

なんでも自分の思い通りにできる、と思っていそうなのに。


「空はさあ」


唐突に青磁が口を開いた。


「毎日違うだろ。つうか、常に違うだろ。一秒前の空と今の空だって、雲の形も、光の強さも、青の濃さも、全部さっきとは違ってる。だから、いつ見ても飽きない。毎日見ても、何時間見てても飽きない」