幸せそうな表情で彼の背中を見送る遠子ちゃん。
その様子を、私は頬杖をついて眺めながら、恋ってどんな感じなんだろう、とふいに思った。
私はいつも自分のことで精いっぱいだ。
勉強と家事の手伝いと玲奈の世話で頭がいっぱいで、誰かを好きになる暇もない。
もちろん、顔が好みだとか、スポーツができてかっこいいなと思ったりとか、優しくて素敵だと思ったりすることはある。
でも、それは一瞬だけのもので、だからといって告白して付き合いたいとか、そんなふうに思ったことは一度もなかった。
たぶん、私が誰かに対してかっこいいと思うようなぼんやりとした一過性の気持ちと、遠子ちゃんが彼方くんに対して、そして彼方くんが遠子ちゃんに対して抱いているような想いとは、まったく別物なのだろう。
私には、世の中に溢れるたくさんの恋人たちが、お互いに対してどんな気持ちを持っているのか、本当の意味では全く分からない。
そして、これから分かる日がくるようにも思えなかった。
私はもしかしたら、他人を愛せない人間なのかもしれない。
だって、自分のことでいっぱいいっぱいで、他人のことを考える余裕がないのだ。
私は人を愛せない冷たい人間なのかもしれない。
誰かを愛する日なんて来ないのかもしれない。
なんとなく、そういう気がしていた。
ふうっとため息が洩れた。
その様子を、私は頬杖をついて眺めながら、恋ってどんな感じなんだろう、とふいに思った。
私はいつも自分のことで精いっぱいだ。
勉強と家事の手伝いと玲奈の世話で頭がいっぱいで、誰かを好きになる暇もない。
もちろん、顔が好みだとか、スポーツができてかっこいいなと思ったりとか、優しくて素敵だと思ったりすることはある。
でも、それは一瞬だけのもので、だからといって告白して付き合いたいとか、そんなふうに思ったことは一度もなかった。
たぶん、私が誰かに対してかっこいいと思うようなぼんやりとした一過性の気持ちと、遠子ちゃんが彼方くんに対して、そして彼方くんが遠子ちゃんに対して抱いているような想いとは、まったく別物なのだろう。
私には、世の中に溢れるたくさんの恋人たちが、お互いに対してどんな気持ちを持っているのか、本当の意味では全く分からない。
そして、これから分かる日がくるようにも思えなかった。
私はもしかしたら、他人を愛せない人間なのかもしれない。
だって、自分のことでいっぱいいっぱいで、他人のことを考える余裕がないのだ。
私は人を愛せない冷たい人間なのかもしれない。
誰かを愛する日なんて来ないのかもしれない。
なんとなく、そういう気がしていた。
ふうっとため息が洩れた。