「お前は、本当は、そんな笑い方……」


途中で言葉が止まったので、「え?」と訊き返したけれど、彼は口をつぐんだ。

そのまましばらく黙っていた青磁が、ふいに口を開いた。


「……お前の生き方には、嘘が多すぎるんだよ」


嘘、という言葉が胸に刺さる。

でも、反感が湧き起こってきた。


嘘をついているわけじゃない。

ただ、空気を読んでいるだけ。

みんなの気持ちを乱したり、怒らせたり、傷つけたりしないように、細心の注意を払っているだけ。

ひとと違うことを言ったり、やったりしてしまわないように気をつけているだけ。


だって、それが、集団の中で生きるということだ。

それがうまく出来ない人は、排除されて、終わり。


青磁のような人間には分からないのだろう。

でも、私にとっては、それが最優先事項なのだ。


「言いたいことだけ言ってればいいんだよ。したいことだけしてればいいんだよ。周りの顔色うかがって、自分を押し殺したりするな」


青磁は偉そうに腕組みをして私の前に立ちはだかり、容赦なく痛い言葉を投げつけてくる。


「自分に嘘をつき続けるのは、疲れるだろ。浮かべたくもない笑顔、ずっと貼りつけてるのは、しんどいだろ。お前、このままじゃ、いつか壊れるぞ」


手をつかまれる。

傷だらけの指を彼は睨みつけた。


「こんなになるまで、無駄な我慢しやがって……お前は馬鹿だ」