私は唖然として青磁を見る。


「どういう意味……?」


彼は冗談を言っているふうでもなく、いつになく真面目な顔で私を見つめ返していた。


「だって、お前のは、作り笑いだろ」


心臓がびくりと跳ねる。

かっと頭に血が昇った。


「……は? 何言ってんの。作り笑いとか……ないし。普通に笑ってるし」


マスクの中で顔がひきつる。

青磁から視線を逸らすと、見えていた綺麗な景色が消えた。


「ごまかすな。分かるんだよ、俺には」


私の混乱を気にする様子もなく、彼は飄々と言った。


「お前はいっつも、楽しくなくても嬉しくなくても笑ってる。むしろ悲しくても怒ってても、笑ってる」


何も言い返せなくて、視線を落とす。

ぼろぼろの指が目に入った。

そういえば今日は指を傷つけていないな、と気がついた。


「どんなに嫌な気分でもへらへら笑って、周りの機嫌とって。お前のそういうところが俺は大嫌いだ」


青磁の言葉は鋭い氷の刃になって、次々に私を襲ってくる。


「お前の作り笑いが大嫌いだ。見てると苛々する」


見抜かれている、と思った。

この曇りひとつない硝子玉みたいな瞳は、あまりにも透き通りすぎて、きっとどんなものでも見通してしまうのだ。


私が今まで自分を演じながら生きてきたことを、青磁は見抜いている。

押し黙っていると、とんっと足音がして、青磁が私の目の前に立っていた。