「おばさんっ、蒼ちゃんに兄弟はいますか?」 「兄弟?」 眉をひそめて、いないわ、とおばさんが言う。 「どうしてそんなこと聞くの?」 「実は……」 『誰にも話すなよ』 あの声が脳裏によみがえった。 ここで話せば彼の忠告を無視したことになるのだろう。 だけど今知っておかなければ大切なものを逃してしまう、そう思った。