「あ、すみません……。水泳やってたころの蒼ちゃんを初めて見たから、めずらしくて」

「そっか、今の学校のお友達は知らないものね。あの頃の蒼、日焼けして真っ黒でしょ。もとが色白だから、泳がなくなったらあっという間に白く戻っちゃったんだけど」

「蒼ちゃん、どうして水泳やめちゃったんですか?」


聞こうか聞くまいか迷ったけれど、思いきって尋ねてみた。
実績のある選手が競技から離れるなんて、何らかの理由があるはずだ。

ところが、おばさんから返ってきた答えは意外なものだった。


「それがわたしにもわからないの。転校する少し前からあの子、ぱたっと部活に行かなくなっちゃってね。それどころか、水泳の話すらしなくなって」

「そうなんですか……。ちょっともったいないですね」