「蒼が教えてくれたの。もうひとりは千歳ちゃんでしょ。新しい学校のお友達が家まで来てくれたの、ふたりが初めてだったのよ」


お友達、か……。蒼ちゃんの方はもう、そう思ってくれていないかもしれないけれど。
嬉しそうなおばさんの言葉に、わたしは曖昧な笑みを返した。

そこで信号が青に変わった。

おばさんは重い荷物をさげながら、ゆっくりと横断歩道を歩きだす。

ちょっとしたハプニングが起きたのは、その直後だった。

スイカの入ったレジ袋が重みに耐えきれず、持ち手部分のビニールが細長く伸び始めたのだ。


「あ、危ないっ」


ビニールがちぎれるよりも一瞬早く、わたしが動いた。
地面めがけて落下したスイカを危機一髪でキャッチ。我ながらなかなかのナイススプレーだった。