「あら、こんにちは」
声をかけられたのは、クリーニング屋に行った帰り道、国道沿いの道で信号待ちをしていたときだった。
ふり返ったわたしに、ひとりの女性がにこにこしながら近づいてくる。
化粧っけのない、だけど優し気で上品なその顔には見覚えがあった。
蒼ちゃんちのおばさんだ。
「あっ、お久しぶりです。こないだはおじゃましました」
自転車からあたふたと降りて、頭を下げるわたし。
おばさんも買い物の帰りらしく、両手には合計3つのレジ袋がぶらさがっていた。
そのうちのひとつは黒と緑のシマ模様が透けている。どうやら丸ごと一玉のスイカらしい。
「蒼のお見舞いに来てくれたとき以来ね。えっと、真緒ちゃんだっけ」
「え、なんでわたしの名前」