『ねえ。……お祭り、行かない?』


それからもたくさんの“初めて”を、あいつは僕に与えようとした。


『あんたがここに存在してる理由が、蒼ちゃんの父親探しだけなんてもったいないじゃん。せっかくだから楽しいこともしようよ』


やめろ。僕は復讐のためにここにいるんだ。

そう頭では反発しながらも、なぜか言葉が出てこなくて。


無理やり連れて行かれた夏祭り。大和や千歳や、おまけに凪まで登場して、バカみたいにはしゃぐあいつらがウザかった。

花火の音と重なるように、あいつは僕に言った。


『ホタル……ずっと』


消えないで――と。