その反面、他の人格たちの治療は順調に進んでいた。
まず最初にミノルが、続いてモモが、俺の中に統合されていった。
統合した人格はいなくなる。だけど完全に消えてしまうんじゃなくて……
たとえるなら、抜けていたパズルのピースがもとに戻った感じなんだ。
交代人格たちが持っていた記憶は、もとはと言えば俺自身のもの。
だから人格を統合することにより、記憶や経験というピースが俺の中に戻っていった。
正直、それは痛みを伴うものでもあった。
親戚の家での辛かった出来事が、リアルに自分のものになってしまったから。
だけど、そういったネガティブな感情を自分自身で受け入れていく。
それが治療では大事なことなんだと、青山先生が励ましてくれた。