わたしは色とりどりに染まる夜空を見上げながら、熱い息を吐きだした。

心臓が苦しいのは、きっと花火の爆音のせいだ。
体中が火照っているのは、きっとお祭りの熱気のせい。

じゃあ、この温もりは。

胸の奥からとめどなく湧き上がる、この温もりは何のせい?

そう自分に問いかけたとき、ようやく気づいたんだ。自分でも信じられなくて、だけど心のどこかではわかっていたこと。


わたし。
いつのまにかホタルのことを――



「すげー! めっちゃ飛んだじゃん!」


そのとき、少し離れた場所から甲高い笑い声が響いた。花火に対する歓声とは明らかに違う、バカ騒ぎしているような複数の声。

ちょうど波止場に出たわたしたちは、その声の発信源がどこなのかすぐに理解した。
波止場の端でたむろしている、中学生くらいの集団だった。


「行くぞー!」


雄たけびを上げながら助走をつけ、次々に海へ飛びこむ彼ら。周りの大人たちが注意してもお構いなしに大はしゃぎだ。