はあ、はあ、はあ、と同じリズムで響く、荒い呼吸。


「ど‥‥どこが、最寄り駅だよ‥‥‥」

タイショーが両ひざに手をつき、激しく肩を上下させながらつぶやいた。


「‥‥‥全然、モヨってねぇじゃねーか」


わたしたちは顔を見合わせて爆笑した。

なんだか無性に、おもしろかった。

ふたりして濡れネズミになったこと、全速力で走ったこと、最寄り駅がまったくモヨっていないこと。

ぜんぶ可笑しくて、意味もなく笑いまくった。


「てか、これ風邪ひくパターンじゃねぇの?」

「やばーい! わたし、来週テストなのに!」

「はいハズキング終了~!」


タイショーがげらげら笑いながら、犬をなで回すように、わたしの濡れた髪をワシャワシャする。

水滴がはねて、タイショーの頬にもかかった。


「どうしてくれんのよ、あんたのせいで赤点になったら!」

「俺のせいかよ。ハズキングの赤点はいつものことだろ」

「失礼な!」

「真実を述べたまでだ」