「……え? どうしたの、二人とも」


わけが分からず私が訊ねると、嵐くんが雪夜くんの成績表を私の前に差し出してくれた。

覗きこんで、私も「えっ」と口を半開きにしてしまった。


「い、一位……?」


その成績表の『学年順位』の欄には、間違いなく、『一位』と書かれていたのだ。


「どういうこと!? どういうことなの雪夜!」


梨花ちゃんが雪夜くんの腕をつかんで言うと、彼は「見たままだよ」と面倒そうに答えた。


「えー……ええ? まじで? なんで、どういうこと?」


梨花ちゃんが脱力して呟くと、嵐くんも同調するように頷く。


「本当だよ。雪夜お前、学校来てなかったくせに、なんでこんなにできるんだよ? ほとんどの教科、満点近く取れてるじゃん」

「べつに……普通にやったらできた。勉強会もやってたし」

「いや、にしたっておかしいだろ。お前って、もしかして、もしかしなくても、めっちゃ賢いんだな」

「べつに、普通」


嵐くんと雪夜くんのやりとりを聞いていた梨花ちゃんが、不思議そうに首を傾げた。


「ん? あれ、二人って、前から知り合いなんじゃなかったの? 雪夜の成績とか知らなかったの? 嵐は」


彼女の質問に、二人が一瞬、顔を見合わせた。

視線はすぐに離れ、雪夜くんは窓の外に、嵐くんは梨花ちゃんのほうに目を向ける。