「だから、どうか……神様」


君の声が震えて、かすれて、どんどん聞こえなくなっていく。


「――だけは助けて。お願いします。どうか、どうか、助けてください。――だけは、助けて……」


『分かった。それでは、代わりにお前の――を頂こう』


そう答える天の声が聞こえた瞬間、どくん、と心臓が音を立てた。


流れ出したはずの命が戻ってくる。

全身が脈うちはじめる。

胸が、頬が、指先が、じわりとあたたかくなる。


息を吸い込むと、身体の中に新鮮な空気が流れ込んできて、頭にかかっていた靄が晴れていく。


瞼を押しあげる力が戻ってきた。

大切な君の姿がうっすらと見えて、泣きそうになる。



その瞬間、目の前が真っ白に発光した。


瞳を灼くほどの強烈な光が爆発して、君の姿をのみこむ。


まばゆい光に包まれた君は、あっという間に、細い線になり、そして小さな点になって――消えた。



君の名前を呼ぶ。

何度も、何度も、呼ぶ。


声が枯れるまで。


でも、光に呑まれた君は答えてくれない。



絶望して、どうして……とつぶやいたとき、拡散していた光が一気に収束して、視界が戻ってきた。



そこで

 この目が

  見たものは――