外では言えないことも、家族には見せられない顔も、日記の中では素直に出せる。


大切にしていたペンを失くしてしまってこっそり泣いたときも、かわいがっていた野良猫が死んでいるのを見つけてしまったときも。

好きな人ができたときも、その人が他の女の子と付き合い始めたことを知ったときも。

読書感想文が先生に褒められて嬉しかったときも、苦手な体育の授業で初めて点数を入れることができたときも。


心が揺さぶられたとき、私はいつも日記に自分の気持ちをぶつけてきた。


今日はもちろん、突然不登校から復活してきた不思議な『幽霊』のクラスメイトについて。


書いているうちに、さらに気持ちが落ち着いていくのを感じる。


今日のことは、なんてことない。
気にしなくてもいい。

こういうこともある。
人生には嫌なことだって起こる。

なにもかもが自分の思い通りになんていくわけがない。


遠藤くんのことは忘れよう。

世の中には数えきれないほどたくさんの人がいて、相性が合わない相手もいるのだから。


そんなふうに自分に言い聞かせて、私は日記を閉じた。